メジャーダイアトニックコードのテンション
以前にテンション・ノートのページでテンションにはコードやKeyによって使えるもの、使えないものがある事をご紹介しました。
今回はメジャーダイアトニックコードで使用可能なテンションをご紹介していきたいと思います。 また、使えないテンションを使えるようにする為の対策もご紹介していきたいと思います。
※ダイアトニックコードが分からない方はダイアトニックコードのページをご覧ください。
また、コードは度数で表記していきますので、わからない方はコードの度数表記のページをご覧ください。
テンションの条件
テンションとして使える音には2つの条件があります。
1、各コードトーンとの音程が短9度ならないこと (Ⅴ7を除く)
- 「♭9th」の音程は非常に強い不協和音を出してしまうためテンションとして(基本的に)使うことが出来ません。
2、コードの機能を変えてしまわないこと
- 例えば、Key:C におけるEm7に「♭9th」を入れると、「シ」と「ファ」が増4度の関係になり、ドミナント要素が出来てしまい、コードの機能に変化が出てしまう。
これらに当てはまるかどうかで使えるテンションが決まります。
使えるテンション
上記のルールを当てはめると各コードで使えるテンションは以下のようになります。
【ⅠM7】
- 9th
- 13th
【Ⅱm7】
- 9th
- 11th
【Ⅲm7】
- 11tth
【ⅣM7】
- 9th
- #11th
- 13th
【Ⅴ7】
- 9th
- 13th
【Ⅵm7】
- 9th
- 11th
【Ⅶm7(♭5)】
- 11 th
- ♭13th
これらがメジャーダイアトニックコードで使えるテンションです。 ※テンションの表記は各コードのルート(主音)に対しての音程なので【 ⅠM7 】の9thと【 ⅣM7 】の9thは違う音なのでご注意ください。
使えないテンションを使いたい時の対処法
使えないテンションだからと言って諦める必要はありません。 コードの構成音を少し変え、コードトーンにテンションの音を入れることで対策をすることが出来ます。
すべてのテンションに対応できるわけではありませんが、いくつかご紹介させていただきます。
例) Ⅴ7で11thを使いたい
Key:Cでご説明します。 G7の「11th」はなぜ使えないのか? 理由は 「3度(シ)」 と 「11th(ド)」 が短9度の音程になってしまうからです。 つまり、問題が出てしまうのは、3度と11度の関係です。
そこで、まず3度を無くし、「11th」=P4th(完全4度)をコードトーンとして迎え入れ、G7sus4とします。 (下の画像をご覧ください。)
これによって短9度の音程は無くなり、11th(=P4th)が使えるようになりました。
実際、「Ⅴ7sus4」は多くの楽曲で使われています。
例) Ⅲ m7で「♭13度」を使いたい
これもKey:Cでご説明します。 Em7は、なぜ「♭13th」が使えないのか? それは 「5度(シ)」 と 「♭13th(ド)」 の音程が短9度だからです。
これは分数コードを使って解決します。 C onE にすることによってコードトーンに「♭13th」(=m6th)の「ド」を使うことが出来ました。
また、他の手段として、コードトーンの7度を無くし、6度を代用することで「Em6」となり、短9度の音程が無くなったので、「♭13th」(=m6th)を使うこともできます。 (下の画像をご覧ください。)
どちらの手法を使うかは曲のジャンルや前後の流れによって作曲者やアレンジャーの手にゆだねられます。
いろいろ試しながらコードを当てていくと世界が広がりますし、いい勉強になります。
最後に
使えるテンション、使えないテンションはどのような理由で選ばれているか? また、使えないテンションを使う対処法についてはお分かりいただけたでしょうか?
この世界には、どの調にも属さないような奇抜な音楽が有るので、絶対に使ってはいけないというわけではありませんが、これらの基礎は知っておいた方が良いと思います。
また、テンションの使い方によっては非常にきれいな和音を奏でたり、不協和音度を高めたりすることが出来る為、楽曲に幅が広がります。
是非、いろいろなコードで、テンションを鳴らしてみて音の響き方を実感してみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。